『古今著聞集』に収録されている歌「青柳の緑の糸を繰り置きて夏へて秋ははたおりぞ鳴く」
とある「はたおり」。「おり」は「織り」で解決できる。古来、「はた」に諸説ある。
ここで諸説を紹介するまでもない。
まず、日本における紡織機の歴史を振る帰ることとしよう。
紡錘には、回転運動により糸に撚りをかけるための道具と回転軸となる「紡軸」 、その動きを作り出す「紡輪」(錘車)、そして地機・高機が重要な道具である。古代遺跡で発見される出土品の多くは「紡輪」である。その材質 ・形態 は様々で時代差を確認できる。近世以降には材料に木綿が使用されるようになり、紡錘は「糸車」 に置き換えられるが、古代の紡錘は主に麻などの植繊繊維に撚りをかけたと推定されている。
さて、ここで紹介したいのは、
東村純子著『考古学からみた古代日本の紡織』(2011年、六一書房)である。高著である。東村氏のCVを存知しないが、考古学を基盤の上に歴史学・民俗学・民族学などの隣接諸学をどん欲に吸収しながら、大系的に紡織という生産技術史の理解を図った点に多大な貢献をしている。
0 件のコメント:
コメントを投稿