力作である。丹念な資料調査に裏付けられた好論である。
三木栄氏と言えば、「杏雨書屋」の主であり、高著「朝鮮医学史及疾病史」などで著名である。日本統治期に水原病院長や京城帝国大学医学部助教授として医学界でも活躍した。九州帝国大学医学部卒。
冒頭を看ると、ご親族謙氏の意を受けて白井氏は三木栄氏の書簡類を整理なさっているとある。その調査結果の一部を、本稿で公表されたようだ。
詳細な紹介があるので、改めて京城書物同好会に関する再論は避けるが、私個人としては、田川孝三先生から幾度となく書物同好会の話を伺ったので、その愛書家たちのエピソードは忘れがたい。
さて、なぜ、京城在住の愛書家たちはこの書物同好会を立ちあげたのであろうか。
単なる趣味人のサロンに過ぎないと考えるべきか、それとも朝鮮文化の簒奪者の集まりだろうか。
それだけに、今後の白井氏の調査結果と行論を期待したい。
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