古代朝廷で使用される靴履などは、中務省内蔵寮で製作された。
「典履2人(掌下縫作靴履鞍具、及検校百済手部)、百済手部十人(掌縫作事)」
とあり、百済手部10人の職人が天皇らの靴履鞍などを製作したとある。
その製作場所は「左京六戸、紀伊四戸」(古記)により、二か所であった。
ところで、その靴履の原材料は、
(1)丹波国 「御履牛皮弐張、充直稲壱伯玖拾束」(丹波国正税帳)
(2)周防国 「交易御履料牛皮弐領価稲壱伯七拾束」(周防国正税帳)
(3)駿河国 「御履皮弐張直稲弐伯玖拾束」(駿河国正税帳)
などから提供された。この職人集団が形成された時期も、また解散した時期も不明であるが、天皇をはじめとする宮廷において、朝鮮半島流のファッションで製作された靴履鞍を使用していた。
なお、正倉院所蔵の衲御礼履などが百済手部によって製作されたと推定している。
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衲御礼履
のうのごらいり
参考文献
竹之内昭(元北海道大学農学研究科)著「古代の皮革」
表1 皮および革の熱収縮温度
皮の種類 | 熱収縮温度(℃) | 革の種類 | 熱収縮温度(℃) |
牛皮(カーフ) | 63~65 | クロム | 77~120 |
牛皮(成牛) | 65~67 | ジルコニウム | 75~97 |
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