2025年9月28日日曜日

古代秋田城にあった3室の個室式水洗便所

 松井章氏( 奈良国立文化財研究所 埋蔵文化財センター)の「秋田城跡のトイレ遺構 1」を拝読。

松井氏の論文によると、古代秋田城の

「3. 遺構の機能的考察

 曲物埋設部の底から木樋への傾斜角度は9度である。これは、排池物が建物上から落下して自然 に木樋を通じて流出するには傾斜が緩すぎると言えるだろう。この遺構が水洗式便所として機能す るためには、遺構として残らない地上の水遺り施設を必要としたはずである。それは建物の立地す る西方の丘陵部の井戸から、木樋を使って水を導き、水洗槽に水をj留める施設であったろう 。この 施設を使用した人は、用便後、桝、ひしゃく などでj留められた水を汲んで曲物内に流して、たまっ た排池物を洗い流す構造であったと考えられる。」)(中略)

「。特に総柱で床を張り、さらに扉まで存在した 個室式便所であったことは、この壮大な便所建物を古代としては例を見ないものとする。」


であったという。


ちなみに伊藤武士氏の「秋田城跡の発掘調査成果 」によると

第63次調査では,鵜 ノ木地区から上屋と優れた施設を伴う8世 紀後半の水洗便所遺構が検出され ている。便所遺構の寄生虫卵の分析から,ブ タを常食とする大陸からの外来者が使用した可能性が 指摘され,奈 良時代に出羽に来航した渤海使や,外 交拠点として秋田城が果たした役割 との関連性 が注目されている。」

(中略)

「沈殿槽の堆積土からは,排 泄後の処理に使用した籌木 (ちゅうぎ)と 呼ばれるクソベラが150本 以上出土した 他,糞 に集まる昆虫の遺体,ハ エ蛹,未 消化の食物残滓 や種子類,花 粉,さ らには各種の寄生虫卵が確認されて いる(図3・4)。 それらの寄生虫卵の分析や種子の同定 結果の他に,遺 構内土壌試料に残在する脂肪酸の分析で も,沈 殿槽堆積土が糞便堆積を多 く含有することが判明 しており,自 然科学的分析によっても一連の遺構が便所 遺構であることが裏付けられている(金 原ほか1995,金 原1996,金 原 ・金原1996)」

ja


だという。


開催内容

前期企画展のタイトル

史跡秋田城







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