2023年5月8日月曜日

家蔵の「日鮮関係史の研究」

 家蔵の「日鮮関係史の研究」吉川弘文館には、写真のように、中村栄孝先生の令夫人である中村静子様の署名がある。その当時、私の勤務先の上司との特別なご縁があり、中村先生のご葬儀に駆けつけたことを機に、静子様からご厚誼を賜り、特に恵贈頂いた中村先生の遺品である。もっともこの本自体は乱丁品であるので、晩年まで中村先生も手元に置いて置かれたものらしい。

この本の価値は中村先生の書き入れと訂正である。誤字脱字は言うまでもなく、もっとも興味を引くのは、文禄・慶長の役の評価である。先生は「秀吉による侵略戦争」と活字化しながらも、そこに鉛筆でミセケチをなさっている。「侵略」である点を訂正なさらないとしても、中村先生の真意はどこにあったのだろうか。

多くの人的被害を出し、そして経済的損失をだしながら進めた強引な他国領土侵略の目的を、中村先生は再検討なさっていたと思われる。

残り少ない余生だけに、あの世で中村先生との再会が楽しみである。もっとも、生前に3回お目にかかったものの、中村先生は私をご記憶にないだろうから、まずは私の上司であり、先生の教え子であるO先生ご夫妻のお名前から明かさなくてはなるまい。






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