2019年8月3日土曜日

「東莱府使接倭使図」崔相振君報告


まず韓国国立中央博物館では、「東莱府使接倭使図」の所蔵状態及び所蔵経緯について調べました。私が今まで調べた範囲では、①韓国国立中央博物館所蔵本、②国立晋州博物館所蔵本(倭館の一部分が描写されている)と各々所蔵場所が違うと理解していましたが、今回の調査で両絵図共に同博物館が所蔵していることを確認しました。国立晋州博物館には臨時移管されていました。具体的には次の通りです。

    韓国中央博物館:「傳鄭筆東莱府使接使図」(81.5×46)で、1922年に塚原龍太郎氏から購入。
    国立晋州博物館(臨時移管):「傳李成根筆壬辰乱使臣饗宴図」(61.2×41.5)で、1909年に鈴木次郎から購入。
 
所蔵経緯については、韓国国立博物館が1945年に朝鮮総督府博物館を吸収する際に、両絵図も一緒に所蔵するようになったそうです。より詳細については、今後、関連資料の収集と分析を行っていきたいです。
つぎに、韓国国史編纂委員会では、「東莱府使接倭使図」に描写されている行列の人数や配列順位などを把握するために、国史編纂委員会に所蔵されている『朝鮮探事』という史料を複写しました。この史料は、対馬宗氏が倭館の館守に「朝鮮国之政治風俗」について情報の収集を命じたものです。その中に、「東莱府使往来召連候人数」という箇条があり、行列に参加した人数や配列順位などを把握するのに重要な手がかりになると考えられます。今後、同史料と「東莱府使接倭使図」に描かれている行列の姿の比較・分析を進めていきたいです。

さて、釜山市立博物館に展示されている「倭館図」(浦山港見取図、1881年)のことですが、釜山近代歴史館(旧美文化院)の図録(21頁)に載っていました。それによると、元々韓国大田の「아드리아ホテル」に所蔵されているのを、展示のために借りてきたそうです。この絵図については、張瞬새로발견된 왜관지도」(『韓日関係史研究』16、2002年)に紹介しています。貴重な情報をありがとうございました。

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